長野県の創業200年老舗旅館「よろづや」で火災

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Image Source: https://news.livedoor.com/article/detail/19681168/

長野県 老舗旅館「よろづや」で火災 国の登録有形文化財

長野・山ノ内町の火災の映像。激しく火が上がっている。もうもうと白煙が立ち込めているのもわかる。燃えているのは、老舗旅館の「よろづや」だという。この建物は、1939年(昭和14年)に建てられ、国の登録有形文化財に登録されていた。消防によると、11日午後3時半ごろに厨房(ちゅうぼう)から火が出たという。現在、3人を搬送したということだが、けがの程度などはわかっていない。

 

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よろづやの歴史(創業の頃)

当館の歴史は、江戸時代寛政年間(1789~1801)頃にさかのぼります。

その頃は本郷組(現大湯組)が旅籠組合の主体であり、それぞれ旅籠営業の発展に協力していたことが、古文書に記されております。「寛政元年(1789)12月覚」には、本郷組12軒の連判証文により、安永2年(1773)の角間川氾濫によって流出した34軒の人々が、上段の新田地区へ移住するにあたって、居住先の斡旋をし、大湯のあまり湯を分湯したことが書いてありますが、その中に「萬屋傳蔵(よろづやでんぞう)」の署名を見ることができます。以上の事から、よろづやの湯宿としての創業は寛政年間、約200年前と推察されます。

 

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よろづやの歴史(明治年間~昭和初期)

明治時代になってからは、交通機関の発達にともなって湯治客が増えました。
それまでは近郊近在のお客様がほとんどでしたが、明治26年信越線開通による豊野駅からの馬車・人力車・乗合自動車によって東京や関東方面のお客様が数多く見られるようになり、特に「トテ馬車」が<トテ><トテ>とラッパを吹きながら馬車を走らせたので、地元の人々から大変親しまれました。

明治・大正と時代の進展に適合するよう施設の整備を図ってきましたが、昭和にはいると世界恐慌の影響で景気が悪化、国際情勢も緊迫、満州事変(1931)に次いで日華事変(1937)といった世相を反映し、旅館の需要も停滞しました。

よろづや先々代の館主小野博(1891~1975)は、そんな時代ではありましたが、思い切って新館の増築を試みました。それが昭和14年に完成した現在の松籟荘です。木造の三層数奇屋建築1951平方メートルであり、世間の注目を集めました。総投資額は10万円(今の価格にして3億円)、主要材料の杉や松は、越後から仕入れました。建築にあたった棟梁は地元出身の宮大工、今井定次郎です。

 

中山晋平を囲んで5代目館主・女将・従業員達(昭和6年頃)

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よろづやの歴史(戦時中)

その2年後に太平洋戦争が勃発、戦時下では不要不急の旅行は禁止され、物資は配給制となり、旅館は仕入などに様々な制限を受けるようになりました。また、戦時中は国家要請により疎開の学童を受け入れました。当時の平穏村(現山ノ内町)で受け入れた学童疎開は4301人で、村の人口が6500人でしたから、人口が倍近くになりました。湯田中温泉地区に疎開したのは、足立区千寿第七小学校の児童で、9軒の旅館に分宿しました。疎開児童への食料配給は、県庁で行っていましたが、不足がちなため、旅館の番頭さんや仲居さんが、近在の農家へ毎日のように買出しに行って不足分を補ったということです。昭和20年3月10日の東京大空襲により、戦況がますます厳しくなる中で、当館への湊海軍病院疎開が決まり、児童たちは3月25日から1週間で荷物をまとめて近在のお寺へ再疎開し、今度は、傷ついた兵士、病気の兵隊さんたちでよろづやの中は一杯となりました。

 

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よろづやの歴史(戦後~平成)

長野オリンピックが決定したのを受け、平成8年12月には隣接の旅館の敷地を譲り受けて本館の増改築工事を行い、婦人風呂・コンベンションホールの新設、合わせて客室の改装を行っております。長野冬季オリンピックの期間中はゴールドスポンサーの宿として、内外のVIPにご宿泊いただきました。大会は途中から異様な盛り上がりを見せ、私どもにとっても忘れることの出来ない貴重な体験となりました。 平成15年12月1日、松籟荘と桃山風呂が文化庁より国の登録有形文化財の指定を受けました。

 

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