朝日新聞社 2021/10/06 16:20
LINEの不備に切り込んだ調査報道 情報管理の危うさに警鐘ならす
(記事冒頭)朝日新聞の「LINEの個人情報管理問題のスクープと関連報道」が6日、今年度の新聞協会賞に決まった。国民に身近で、政府や自治体でも利用されるデジタルプラットフォーマーの個人情報管理の不備を調査報道で明らかにし、政府や自治体などの情報セキュリティー体制の見直しにつながったことが評価された。きっかけは、歌手の野口五郎さんの問いだった。「なぜ、ほとんどの政府や自治体がLINEを使っているのでしょうか。個人情報が流出することはないのでしょうか」昨年12月のことだ。音楽活動の傍ら、コロナ接触通知アプリ「テイクアウトライフ」を開発した野口さんを取材した。野口さんは自治体に無償でアプリ導入を訴えたが、LINEとの契約を理由に断られたという。
【謹告】「LINEの個人情報管理のスクープと関連報道」で本年度の新聞協会賞を受賞いたしました。ひとえに取材班のメンバーのご協力とみなさまのご支援のおかげです。改めて感謝申し上... #NewsPicks https://t.co/lkYxqiDsCn
— 峯村 健司 / Kenji Minemura『潜入中国 厳戒現場に迫った特派員の2000日』重版御礼 (@kenji_minemura) 2021年10月6日
石井夏生利(中央大教授)「国益にかかわる恐れある」
仮に政府要人がLINEを利用してその情報が他国に抜き取られれば、国益にかかわる恐れがある。学術分野なら、知的財産の流出というリスクもある。今回の報道は、国や自治体に「利用者のデータは日本に閉じている」と説明していたLINE側の説明を覆すもので、プラットフォーマーへのチェック機能の重要性が示された。国や自治体が企業と連携する際の危機意識の醸成や、企業の公明正大さを国民に説明できる体制づくりが急務であることも浮き彫りにした。