ウクライナ侵攻はアメリカ中心の報道では説明がつかない

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日本での情報の流れ方がかなり歪だという危機感を持ってまして、「ロシア、或いは、プーチン大統領個人が、極めて強権的、覇権主義的な、所謂、現代社会・国際社会のルールを無視して領土を奪いに来てるんだ」というステレオタイプの理解をすると、まあ、そういう報道が多いですよね。私は昔ロンドン支局にいた頃から、ロシアでの取材をする機会があったものですから、ロシア側として見ると、領土をいま増やすことによって得られるメリットは殆ど無いんですね。クリミアがあって、経済制裁を受けて、これによってウクライナは勿論、例えばバルト三国とか、他のNATO未加盟の国も「これはうちもNATOに入らなくては」という空気が充満しますよね。既にそういう話が始まっています。ラトビアとかね。

ということは、今回のアクションによってロシアが失うものは非常に大きいわけですね。アメリカ中心の報道による理解では説明がつかないんですよね。私は「領土を奪うという独裁者としての欲望」という見方を一回捨てて、ロシアという国の誇りと、安全保障に対する恐怖がそもそもあって、プーチン大統領やロシア人の心の奥底に、ある意味で「自衛」というか、このまま放って置くと、ロシアという国家は二流・三流国に落ちて行ってしまうという、いつか歯止めをかけなくてはいけないという、基本的な危機感があると思った上で、バイデン大統領のようなね、非常に協調主義的というか、強い決断が出来そうも無い人がいる時に、出来るだけくさびを打って行こうと考えれば、強烈な経済制裁があっても、ウクライナがこのままNATOに入って行くという流れに、取りあえずくさびを打たなきゃいけないという、ある種「恐怖」に基づく行動だと思わないと恐らく説明がつかないと思うんですね。

ロシアの場合は、元々、ロシアという国の成り立ち、それからソビエト連邦から崩壊があって、CISが空中分解していく過程の中で、ウクライナは絶対に失ってはいけない。これは地政学的にも、文化的にも、心理的にも、絶対に譲れない線だと。日本で言うともう、関東と関西の間で、関西に中国が入って来るぐらいの危機感と思っていいかもですね。モスクワには長距離列車のターミナル駅がいくつかあるんですけど、ウクライナ方向に向かうにはキエフ駅というのがあって、要するに、東京に北京駅があると思って下さい。陸続きで。そこに、NATO軍が常駐して、核を持ち込んだら、これもうロシアという国は、安全保障上の状況が一変してしまうんですね。それは絶対に避けなくてはいけないと、ロシアのリーダーであれば普通に考える事だと思うんですよね。

(中略)柔和な人が多いウクライナ。完全に裏目に出てしまって、取りに来るとわかっている領土を、恐らく、ドネツクなど今の親露派という支配地域を超えて取られてしまいますね。しかも無抵抗で。これもう、尖閣、沖縄、全く同じ事が海軍によって起きかねない。しかも、その時にバイデンは動かない。最悪のシナリオがもの凄くリアリティを持ってますよね。日本の状況もそっくり。国内に反戦を唱える平和主義者がいて、そもそもゼレンスキーもそちら側の人ですから。「9条を守ろう」と言ってる人が一定数、国会で議席を持っていて、例えば国を守るという議論について必ず強い反対が出て来る。それから今の玉木デニーという沖縄県知事は「沖縄は一国二制度」と言ってる。これ、同じ事がドネツクでも起きてる。だから似てるから反面教師というよりは、日本の近未来像に見えて仕方がないですね。

人のいい、軍備を持たない国は、どんどん領土を奪われて行くという、非常に厳しいけれども、これが国際社会の現実ですよね。

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緊急配信!『山口敬之さんに訊く。日本もこのままでは済まない!ウクライナ侵攻はなぜ起きた?プーチンの思惑とバイデン民主党の失政』ゲスト:ジャーナリスト 山口敬之氏 - YouTube

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(抜粋)今年2月21日の講演で申し上げたことからお話しします。私が言っているのは、私たちが特に懸念し、心配していること、つまり、欧米の無責任な政治家たちが毎年一歩ずつ我が国に対して及ぼしている根本的な脅威のことです。NATO圏の東方拡大とその軍事インフラがロシア国境に接近していることを指している。

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