総裁選:ニュースでわかる地政学『自民党を知ろう Vol.1』

f:id:tabby3:20210920004929j:plain

自民党を知ろう!vol.1【CGS 茂木誠 ニュースでわかる地政学 第41回】

吉田茂さんの自由党鳩山一郎さんの民主党が合体しました。1955年です。それまで、大きい政党が4つあって、自由党民主党と、社会党左派と社会党右派。それで、朝鮮戦争などがあり、東西冷戦がエスカレートして行って、社会党が合体したんですよね。3大政党。バックがソ連社会党が一番多くなると困るので、保守はひとつにまとまろうと。

吉田茂さんがどういう人かというと、幼い時に養子に出されて、義理のお父さんが横浜の貿易商。阿片商会のジャーディン・マセソン・ホールディングスの横浜支店長だった。ということは、明治時代の始めから吉田家はグローバリスト。そうじゃないと首相になれてませんから。だから幼い頃からそういう教育を受けて、英語をマスターして、駐英大使をやってきた人。大東亜戦争中もずっと向こうの連絡役で捕まった事が無い。アメリカ占領軍からすると吉田は使えると。要するに、親米政権の傀儡首相にされたんですよね。それに対して、鳩山一郎さんは「アメリカの言いなりにはならないぞ」ということで、鳩山民主党は右側だった。東西冷戦の中で、アメリカべったりは駄目だと、モスクワに行ってソ連との国交回復をやり、シベリア抑留者を連れ帰った。但し、その時に領土問題は後回しになってしまったのが今に尾を引いてるんですけどもね。

で、どちらかというとナショナリストの鳩山民主党と、グローバリストの吉田自由党がくっついて、自民党を作った。その頃、左側は完全にソ連陣営。日本にはあまり影響無かったですね、中共は、当時はね。ソ連の影響は大きくて、社会党の存在がドーンとあった。で、鳩山民主党の流れが清和会です。本来は右下の位置にいた。安倍さんのお爺さんの岸信介さんは元々、革新官僚満州国でバリバリ五か年計画をやっていた人。満州国統制経済だから左下になって、アメリカから見たら真逆。ところが戦犯容疑で捕まり、巣鴨にぶち込まれた時に(想像ですがたぶん)アメリカのCIAと岸さんで何か妥協したんでしょうね。で、岸はもう反米を止めると。その代わり、アメリカの方は岸の罪状は問わないと。満州で作ってた阿片利権とか渡したんじゃないかな、とか。岸さんとしては、この冷戦下の中でアメリカと手を組むのは仕方無いけれども、従属国は困るから、日米安保を改定して、少しでも平等にして行きたいとやったのが60年安保。

でその後、今度は吉田さんの系列。宏池会池田勇人大平正芳という人がいました。元財務官僚。日米安保を巡り、日本国内が割れて、学生運動が荒れ狂ってしまい、岸さんは責任を取って退陣。何でこんなに日米安保に反対デモが起こるのか、何でソビエトを礼賛するような社会党が蔓延るのかというと「貧困」。だから貧困を何とかしなきゃいけないので、先ずは飯を食わそうと、「所得倍増しましょう」と言って、池田さんが号令かけて、その後日本では政治的な議論が封じられて、ひたすら働こうとなったんですよ。そうすると、岸さんの時にやった、日米関係を対等にしようという動きは全部止まり、豊かになればいいじゃないかとなり、憲法改正も出来ず。

その次が、この清和会から財務官僚の福田赳夫という人が出まして、ハイジャックがありましたよね、バングラデシュダッカでね。乗客を人質に取って、テロリストの釈放をしろと要求して来た時に応じてしまったのが福田赳夫。「人の命は地球よりも重い」とね。福田赳夫の息子が福田康夫。だから清和会も段々そうなって行ったんですよ。平和ボケって言いますかね。

f:id:tabby3:20210920005254j:plain

https://www.youtube.com/watch?v=A-fwoXjRUvQ

後は70年代に大きな変化があって、これが田中角栄。もともと無派閥だったんですけれども、越後、新潟の建設会社のオーナーで、貧しい新潟を豊かにすると言って出て来た。当時もう高度経済成長始まっていて、太平洋岸が結構誰かになっていった、オリンピックもやった、でも日本海側が全く変わってないから、そこに高速道路や新幹線をどんどん引いて、「日本列島改造論」と言ったのが田中角栄さんです。これが国民から拍手喝采されて、あの人は大出てなくて、今までの、東大出のエリートだった福田赳夫に比べて”庶民派”とか言われてですね。すごい人気になりました。で、ちょうどその田中角栄の時にアメリカが方針を変えて、「中国と手を組んでソビエト連邦の孤立化」、ニクソン大統領が北京に行き、毛沢東と握手しました。その時、日本政府に何の相談もなくやったんですよ。だって属国だからね。

田中角栄はメンツをつぶされたと「じゃあ、ワシも北京に行ってくる」と言って北京に行き、アメリカより先に国交回復。当時の中国は本当に貧しかったので、田中の頭の中にあったのは「もう日本はこれ以上成長しないから、中国に投資をして、日本の建設会社を中国にどんどん送り込み、仕事を与えて儲けさせて、その儲けるお金は日本国民からのODAで、その土建屋さんから政治献金をもらって、それをばら撒いて」・・・ということをやった。これが田中政治。結果、この集金マシンが上手く回り、田中派が今までの、清和会・宏池会を押しのけて最大派閥になっていったと。だから今まで社会党がいたところに、田中派がブワーっと出来た。それでアメリカが焦ったんですよね。「田中はコントロール出来ない」ロッキード事件が起こって失脚しましたと。大体、東京地検というのは常にこっち(CIA)の意向で動いてますから。自民党の政治家で捕まるのは左側の方。

ところが、田中親分が失脚しても田中派は残ったんですよね。田中角栄は一国会議員に過ぎないのに”メジロの闇将軍”とか呼ばれて、田中派が誰を推すかで首相が決まるという恐ろしい時代になってですね。その後、よくわからない、もうクルクル、回転ドアみたいに首相が変わって行ったのは、そういうことです。

あと、元海軍の軍人であった中曽根康弘という人がいまして、あの人はナショナリスト親米派。しかし無派閥だったので、結局、田中の親分に頭を下げて「お願いします」と言ったので、左側に引っ張られて中途半端に。靖国問題でも中国に気を使って、公式参拝を止めてしまうとかですね。だから、政治家本人がどういう思想を持っているかプラス、誰に担がれたかが大きそうですね。だから、高市さんが、無いと思いますけど、万が一、またこのタヌキ(二階)が「高市さん、うちが支援しますよ」なんて、なったらそれは駄目ですよ。断わらないと。

にほんブログ村 ニュースブログへ